茶屋町この顔 第四回 丈達 裕士 さん

 お花がいっぱいで、緑豊かな訪れやすい茶屋町
             まちづくりに花を活かしていきたい


ビルが立ち並び、若者が行きかう茶屋町の、路地裏に出現した緑の空間 「フロリスト・メリー」。ブーゲンビリアでふちどられた店は、オレンジ色のライトに照らされて、都市の中で異空間のように浮かび上がっている。
フラワーショップ フロリスト・メリーは、1925年創業。
現在3店舗を展開し、茶屋町店は、阪急うめだ店と堺 北花田阪急店のバックヤード店として機能している。
丈達 裕士 さんは、三代目だ。
「フロリスト・メリーは、めちゃくちゃ変わった花はないけど、どんなお客さんの要望にも応えられるよう種類が豊富です。“ 誰それに贈るには、こういう花でないと ” といった依頼にも細やかに対応してますよ」
丈達さんは、西宮で生まれ育ち、12歳の時に茶屋町へと移り住んできた。高校卒業後、上京しフラワーディスプレイなどの修業を数年間行った。
「小さい頃から家業の手伝いをして、とにかくお花が好きでした。花を使って芸術的なことがしたかった。お店をディスプレイしたり、ブライダルの演出をしたり、華やかなことに携わりたかったんですね」
お店の概観・内装といい、ディスプレイされた“ モノ ” たちの醸しだす雰囲気といい、洗練されていながらホウッとできる空間に仕上がっている。
通りがかった人たちが興味をひかれて、思わずお店に顔をつっこんで、眺めていく様子もしばしば。

“ 修業の成果、すごくでていますね ”との感想には、「あんまり難しいことは思ってなくって、花はプラモデルと一緒なんですよ」と丈達さん。
「プラモのパーツみたいなもので、あれこれいじるのが楽しい。男は、フラワーアレンジを始めてみることを、おすすめします。“ 花なんて ”と言ってる人が、始めてみたらけっこうはまる。色合わせや立体感の出し方とか、楽しいですよ。女性は細部にこだわるけど、男性は空間を活かしたアレンジが得意かもしれません」
たとえば、ブライダルブーケなどは、女性がつくったものが綺麗に仕上がっているそうだが、空間ディスプレイなどでは男性が力を発揮するのだそう。
「ブーケは、“自分が持ちたい”と思った願望が反映されるでしょう。やっぱり女性がつくったものが好まれます。一方で、男性は、癖はあるかもしれないが、大胆に生ける。それと習性で、物事に執拗にこだわるから、最終的な完成度は高くなります」

とは言え、“ 花は女性のもの ”という風潮は、まだまだ強いのだとか。
「観葉植物を買い求めにやってくるなど、昔より、花に興味を持つ男は増えてきました。それでも、海外に比べると、記念日にお花をプレゼントする人は少ない。“ 恥ずかしい ”という意識があるのかな。包装して、花束だとわからないようにして持って帰ります」
お花も土いじりも、もっと男性に馴染んでほしい、と丈達さん。
「お花を裸で持っていくのがカッコいい! みたいな文化が生まれてほしいですね」

こよなくお花を愛す丈達さん。
“ まちづくりにも花を ”と、さまざまな活動に力をいれている。
地元若手住民・店舗経営者・ショップ店長ら有志の集まり鶴乃茶屋倶楽部では、”菜の花の散歩道”を実施。
このプロジェクトは、与謝蕪村が「菜の花や月は東に日は西に」と詠んだ当時の風景にちなんで、菜の花で茶屋町を彩るというもの。
丈達さんが中心となって、花苗の準備から、育成まで取り組んでいる。
また、夏と冬に恒例となっている「100万人のキャンドルナイト 茶屋町ナイト」では、店舗内外ととともに、近接するファーストフード店の周囲にもキャンドルを設置。まちを盛り上げた。

独特の感性は、キャンドルナイトにも発揮され、細い路地は、見事なディスプレイを一目見ようと詰め寄せた人でいっぱいになった。
写真を撮るにも順番待ちをするほど。
「6年前からやっていて、昨年からは鶴乃茶屋倶楽部として実施しています。今年は600個のキャンドルを設置したので、準備が大変でした。お店にとっても、この時期、大切な恒例行事ですね」

花をまちづくりに生かしていこうという考えは、人々の共感を呼び、茶屋町のあちこちにプランターを置き、緑豊かな茶屋町にしていこうという取り組みも始まっている。


「茶屋町は、ここに住んでいる人が少ないまちです。全国的に活躍する、大型店舗や企業が多い。そういったところばかりが主体になるのではなく、住民の意見も反映していく必要があります。めいめいが自主的に活動することが大切です」

←気さくな丈達さんは、エレキギターが好きでバンド活動も熱心

“自分でやれることを ”と考えた時、やはり花を取り入れていきたいという気持ちになったのだそう。

「茶屋町にいる子は、こじゃれてて、ピュアな子が多い。順番待ちの時でも、きれいに列を作って押さない。ゴミも散らかさない。そういった特性を伸ばして、さらに上品なまちになったらいいなと思います。まち中にプランターを置いて、緑とお花でいっぱいにして、安全で訪れやすい茶屋町にしていきたいですね」

フロリスト・メリー ホームページ
フロリスト・メリー フェイスブックページ
鶴乃茶屋倶楽部facebookpage



<了> 文責 椢原



このコーナーは、紹介制の人物数珠つなぎ。
次回は、丈達さんからのご紹介人物を特集します。
さて、どなたになるのでしょう。
第四回を、お楽しみに。